2021年03月10日

ワカタケル  池澤夏樹

ストーリー自体は面白い小説ではない。それでも、史実に沿ってイメージできる物語というかファンタジーに仕立ててあるのは大したものであった。5世紀中ごろのこと。

ワカタケル
池澤 夏樹
日本経済新聞出版
2020-09-19




(備忘メモ)埼玉県の稲荷山古墳から出土した、鉄剣に刻まれていたワカタケル大王は、第21代天皇である雄略天皇だといわれている。雄略天皇は、中国の宋に使者を送った倭の五王の武だと考えられており、倭王武は、朝鮮半島南部の支配権を認めてもらおうとして中国に使者を送ったと伝えられている。考古学的には実在した最古の天皇だと言われている。即位後も人を処刑することが多かったため、大悪天皇と言われていたという説もある。雄略と思しき大王の名が刻まれた鉄刀・鉄剣が熊本と埼玉で見つかったことから、5世紀後半にはすでにヤマト王権の支配圏が九州から関東までの広範囲に及んでいたことが推測できる。
<青空が好き!>

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2021年01月16日

ヤクザときどきピアノ  鈴木智彦

65歳になろうというのに再びピアノレッスンを始めた。ヤマハの月謝が高くて、年金生活者には痛いのだが楽しい。
この本、共感するところが多い。レイコ先生ナイズジョブ! ピアノは音を出すのはたやすい、でも美しく弾くのは難しい。でも、弾けない曲などない(はず・・)。練習さえすれば!頑張ろうぜ!ご同輩!

ヤクザときどきピアノ
鈴木 智彦
CCCメディアハウス
2020-03-31



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2020年11月15日

じんかん  今村翔吾

・人間。同じ字でも「にんげん」と読めば一個の人を指す。今、宗慶がいった「じんかん」とは、人と人が織りなす間、つまりはこの世という意味である。
・人がこの世に生まれてどれほどの時が流れたのか、悠久の歴史の中に名を刻んだものは数えるほど。その大半が生まれながらにして門地があり、富を持っているものばかりではないか。その他の無数の民は名も知られず、声も残さずにひっそりと沈んでいく。

「松永弾正久秀」という戦国武将の名前は知っていたけれど、何をした人かも知らず、小説ながら概略をつかめた。三悪行といわれる、主殺し、将軍殺し、東大寺焼き討ちを、通説と異なる角度で、物語る。
団栗の背比べとは言え、なぜ、畿内の統一は困難を極めたのだろう。割と右へ倣えの関東(中央集権的)に比べ、ざわつく混沌とした印象の関西(小さな共和国の集まり)という、今に通じるものがあるのかもしれない。
500ページを超える分厚い本で、信長に語らせるスタイルは良しとするけれど、残念ながら、中盤以降は、端折り気味な筋書きで、展開もいまひとつ面白くない。
じんかん
今村翔吾
講談社
2020-05-26



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2020年11月04日

深宇宙ニュートリノの発見 吉田滋

分厚い新書版の本。昔熱心に読んだ講談社新書の科学もののつもりだったのだが、難しい。内容の半分は正確には理解できていないと思う。ただ、熱意というか、ワクワク感というかが、ひたひたと伝わってくる内容の本だった。当面は、ニュートリノなんて、この社会に何の貢献もしやしない。それでも、わからないことをわかりたいと思って取り組み続けるのは、それも、いろんな国の人たちと、こういう仕事っていいなあといまさらながら思う。




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2020年09月03日

本を売る技術  矢部潤子

その道の志の高い人は、どの分野でもいるのだと深く感心いたしました。「矜持」という言葉を久しぶりに思い出しました。

本を売る技術
矢部 潤子
本の雑誌社
2020-01-23



・店内のいろいろな場所にそれぞれ意味を持たせていくのが「売り場つくり」
・本屋っていうのは、毎日来る人向けだと思っている
・売上を作っていくときに、そこにはすでに売れている本ではなくてこれから売ろうとするものを置かないと間に合わない
・毎日来る人を増やすためには、毎日売り場が変わってなきゃいけない。これだけ本があるのに、この店はいつ来ても同じものしかないなと思われたら店は終わりです

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2020年07月26日

残酷な進化論 なぜ私たちは「不完全」なのか 更科功

残酷の意味は、死ななくては自然淘汰が働かない。死と縁を切ることはできないということ。宗教家ではないので、死とは残酷なものであるという前提です、
集団の問題と個人の問題が一緒くたに議論されているような気がする。




・自然淘汰という進化のメカニズムは、正確には自然淘汰が増やす形質は、子供をより多く残せる形質。狭心症や心筋梗塞が起きても、その個体が生殖年齢を過ぎていれば、自然淘汰には関係がない。進化における一将は子供の数だ。医学や健康な生活習慣は進化と戦うための武器なのだ。
・進化は将来の計画を立てたりしない。この瞬間に役立っているかどうか、それだけだ。
・進化に完成も未完成もないのである。環境が変わればいくら完全に思えたものでも役に立たなくなる。すべての生物は、不完全であり、だからこそ進化が起きるのだ。

メモ 昆虫100万種、脊椎動物6万種(1.魚類3万種、2.両生類、3.爬虫類、4.鳥類、5.ほ乳類)

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2020年07月22日

渓谷登攀 大西良治

「過去に拓かれた道があって今がある。ならば、今を生きる者として、未来への道を拓きたい。」
渓谷登攀
大西 良治
山と溪谷社
2020-03-30



称名川の記録だけかと思ったら、ほかにも、沢登り(日本、台湾)、キャニオニングが紹介されており、いい本でした。写真もいっぱいあってわかりやすく、究極の沢登りというものを紹介してくれます。大西良治という人はきちんとした人なのだろうという印象が伝わってきます。遡行リストには、ボクが、若いころに遡行した沢もあって、たぶん最初のステップは、同じようなものだったのだろうけれど、ボクは困難さより、楽しさを求め、この人は困難さを求め、「渓谷を自由に飛び回れる翼」を求めたのだろう。でも、共感できる本だった。
「難しい沢登りをしたらしいけれど、で、何?」という、沢登りや登山をしない人たちは思うのかもしれない。まあ、変人なのかもしれない。でも、ラインホルト・メスナーの本を読んだときみたいな感動があった。ご無事で思いを遂げられることを祈りたい。

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2020年07月20日

冒険の書 南谷真鈴

タイトルは、まるでゲームの攻略本で、7サミットの攻略本という意味かもしれない、すぐ読める。公募隊というか、ツアーに参加しての登攀が多くて、とてもイージーな印象を受けやすいけれど、体力やら気力やらこの人の持つポテンシャルも高かったのだろう。たしかに、若くてかわいい女の子だし、話題性もあり、スポンサーもついて、英語もペラペラの帰国子女だし、早稲田の人脈パワーもあるだろうし、7サミットはおろか南極点にまで行けたのかもしれないという側面もあったのだろうけれど、人を動かす情熱があったのだろうなと思う。
南谷真鈴 冒険の書 LIVING WITH ADVENTURE 英訳付
南谷 真鈴
山と渓谷社
2016-12-03



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2020年07月12日

流人道中記  浅田次郎

少し期待とは異なる物語。日本中が涙したという結末に、期待しつつ読み進めたけれど、がっかり。
社会構造のありように疑問を持ちつつも、個人的な事柄に収束して、世の中は、何も変わらず。武士そのものへの贖罪的な罪を甘んじて受けるといっても、その真意が裁きの三奉行にわずかに伝わっているらしい雰囲気はあるものの、「青山玄播」の考えは、誰にも伝わらず、自己満足の域を出ていないように思う。口伝でその真意を明かされた石川乙次郎においてさえ、理解していないのか、最後のセリフが武士を肯定するかのような「新御番士青山玄播様、ご着到、くれぐれもご無礼なきよう」では、逆に武士社会のありようを尊重せよと言ってるも同じではないか。せめて職位なく、名前だけで呼びかけてほしかった。
かつて「蒼穹の昴」を読んで以来のファンなのだけれど、読みやすさ抜群は相変わらず。新聞に一年以上続いていたらしいから好評だったのだろう。

「世の中、情理は裏と表でござんす。道理の通らぬ情に絆されてはなりやせん。情のねえ理屈を通してもなりやせん。」
「存外のことに、苦労は人を磨かぬぞえ、むしろ人を小さくする」



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2020年07月06日

哲学と宗教 全史  出口治明

哲学の部分は関心がないのでつまらなかったけれど、宗教の部分はなかなか含蓄話もあって面白く読んだ。環境変動とか、科学技術や農業技術の進歩とかいった背景もそこに加わっていれば一層深い洞察に満ちた全史になったと思うけれど、いかんせんトピックと百科事典的事項を時系列に並べた印象は否めない。でも、よくできた本です。

哲学と宗教全史
出口 治明
ダイヤモンド社
2019-08-08




Cogito,ergo sum.

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